不織布製品企画・製造・販売の株式会社アサクラのスッタフブログ

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脱プラ素材 用途ごとのおすすめ代替え素材 【包材編】

こんにちは!アサクラのほつりんです。

今回は、脱プラの代替え素材について考えてみました。

スーパーなどでも様々のものが脱プラ素材に切り替わっていますが、その素材がどの程度環境に良いのか、切り替える意味があるのかなどを一度考察してみたいと思います。

 

 

完全独断「地球に優しい脱プラ素材評価」包材編

包材業界で流通している、主な脱プラの代替え素材を、完全な独断ですが評価してみました。いろいろと異論はあるとは思いますが、あくまで個人的なイメージなので、参考程度にご覧ください。

 

星マークの意味はこんな感じです。

★★★★ 完璧!今すぐ全てこの素材に差し替えよう!

★★★☆ 素材その物は地球に優しいが、まだ課題もある。

★★☆☆ 脱プラ過渡期のスタンダード、徐々に完璧を目指そう!

★☆☆☆ 気休め程度、脱プラへの第一歩としては良いのでは?

 

・PLA(ポリ乳酸)不織布 ★★★☆ 

植物由来の生分解性不織布です。トウモロコシやサトウキビなどから取れるデンプンを原料にして作られたポリエステル系の不織布です。カーボンニュートラルや生分解が売りの素材ですが、地味に抗菌効果もあるのが特徴です。

課題として製造時に現段階では、通常のプラより環境負荷があると言われています。(販売する側としては隠しておきたい事実・・(;゚Д゚))その辺は徐々に改善されている様です。あと、これは環境素材全体に言える事ですが、現状のプラ品より価格が高い事です。これも生産体制が整えば徐々に改善されると思われます。

とは言っても現状最適解の一つなのは間違いないかと思います。植物由来ほぼ100%で生分解は素晴らしいと思います。

 

さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も↓

 

・Bio PBS 植物由来の生分解性フィルム ★★★☆

こちらもトウモロコシなどの植物由来の原料で作られた生分解性のフィルムです。

フィルムの代替えはこちらがおすすめです。

自然界の微生物の力で、水と二酸化炭素に分解される特徴を有した環境に優しい素材です。分解されることでプラスチック廃棄物の削減にも貢献します。
また、一般的な生分解性樹脂の中では高い耐熱性や加工性を有していますので、これらの特色を活かせる用途での使用が見込まれます。

課題は、フィルムの代替えとしては高価な事です。現状最も安価な素材の一つであるフィルムと比べると・・・幾ら環境に良いとはいえ、コストが厳しいのも事実です。その他に透明度や厚みなどの問題もあります。これの課題をいかにクリアするのかが、今後の普及に大きく影響をあたえそうです。

 

・海洋生分解性フィルム ★★★☆

こちらは生分解性フィルムの海水で分解するタイプです。ウミガメさんも安心のフィルムが登場しました。*1 課題は、ほぼ通常の生分解性フィルムと同じです。

 

実際どれくらいで分解するか実験してみました↓


バイオマス25%未満の不織布・フィルム ★☆☆☆

このバイオマス割合が25%未満のものは、個人的には少し微妙ですが、けして無意味とは思いません。CO2削減への第一歩としては良いと思いますし、過渡期に少ない設備投資でも製造できるので、普及し易いというメリットもあります。あと、価格の上昇を抑える事ができるので、代替えとして利用し易いのも良いところです。

千里の道も一歩よりという事です。

 

バイオマス25%以上の不織布・フィルム ★★☆☆

レジ袋の有料対象外になる、言わば政府お墨付きの環境配慮素材です。

高いカーボンニュートラル効果を得れる、脱プラ代替え素材のスタンダードとも言える存在です。今後は、価格や生産性を向上しながら配合率を上げて行くのが課題です。

 

・リサイクルPET100%不織布 ★★☆☆

回収されたペットボトルをリサイクルして出来た、再生PETを約100%*2使用して作られた長繊維不織布です。

ペットボトルをリサイクルする事により、ペットボトル関係のCO2の総排出量(資源採取から廃棄までの)が約42%削減*3されます。

PETなのでPPの様なしなやかさはありませんが、ほぼ同等の加工性があるので、十分に代替えの候補になるのではないでしょうか?

 

・天然素材関係(コットンなど植物繊維) ★★★☆

土に還る天然素材です。コストや加工性が問題なければ、脱プラ代替えの第一候補にしたいそんな素材です。フィルムや不織布の様に熱圧着できないので、袋にする場合は縫製する事になります。海外なら問題ありませんが、国内で作ろうとするとコストが厳しい場合もあります。

用途やスペックが合えばですが、植物由来の天然素材はおすすめの候補です。

 

・紙  ★★★☆

各種パッケージが紙に切り替わって、脱プラの象徴的な扱いでもてはやされていますが、紙=エコとは単純には言えないので注意が必要です。

紙袋を作るのに必要なエネルギーは、プラ袋の4倍使うと言われています。

また、紙に切り替えた場合プラ袋に比べてかさばるので、輸送コストなどの負担も多くなる可能性もあるので注意が注意が必要です。

耐久性もプラ程ないので繰り返し使える分、不織布などの方が考え方によってはエコかもしれません。紙も万能ではないので、使い分けが必要だと思います。

 

 

まとめ

個人的な感想になりますが、現状★★★★の完璧な代替え素材はありませんでした。それぞれ課題があり、環境負荷、コスト、加工性などを全てが完璧な素材は現状見当たりませんでした。それでもこれからの更なる進化によって★★★★になる可能性を秘めたものは幾つかありました。

プラ製という低コスト品の代替えの難しさは、環境には良いけど、高くなるのは受け入れ難いというコスト面の問題が大きい気がします。今後普及が進めばコストが下がる期待がもてますので、今後も積極的に環境素材を使い続けて行くことが大切ではないでしょか?

 

その他にも、お米や石灰石などを使用したものなど、今回ご紹介出来なかった代替え素材は、まだまだ沢山ありますが、また次回の機会にご紹介出来ればと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 




※考察内容は製造メーカーの説明やセミナー、展示会、ネット情報などから得た素材情報を個人的解釈でまとめたものです。

*1:実際には分解するのに数か月かかるので、海に廃棄してはダメです

*2:厳密には数%他の樹脂が含まれています

*3:PETボトルリサイクル推進協議会HPより